第4章:ゴールを高めつづけよう

 核心に迫るゴールに出会う
 価値はアファメーションを通じて増える
 各スキルの位置づけ
 ゴールのイメージのつくりかた
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この記事でわかること:価値を純化するには、ゴールの抽象度を高めること

この記事の要点は…

  •  未知の価値が必ず存在するという前提を持ち、体験を広げれば価値は純化
  •  資源(知識・経験)を体系的かつ網羅的に集めることで、ゴールの抽象度が上がる
  •  プラスの価値を起点にすれば、挑戦は楽しく持続可能になる
  •  高い抽象度のゴールは、あなただけでなく人類全体の幸せにもつながる

スキル3,4,5,6が繰り返されれば、価値は純化する

スキル3・4・5・6を中心にサイクルが回り続けるなら、前向きな状態が保たれつつ、価値の純度が高まっていくでしょう。

抽象度の高いゴールは、まだ体験したことがないからこそ、目指しがいがあるものです。可能な範囲で、少しずつゴールを高めていけるとよいでしょう。ゴールが高まった先に見えてくるのは、さらに抽象化され純度が高まった価値です。価値は「自分らしさ」を支えています。価値の純度が高まると同時に、「これが、私だ」「これが自分らしさだ」という感覚に気づく場面が、増えていくでしょう。

ゴールが少しずつ高まるプロセスの途中、あなたは次のような疑問を抱くかもしれません。「自分のまだ知らない世界や、体験したことのない価値が存在するとして…“知らない”のだから、知らないことをゴールにするなんて、できないことなのでは?」。確かにそうかもしれません。生まれたばかりの子猫を、縦じま模様しかない環境で育てると、横じまを認識する視神経が発達しにくくなる、という実際に行われた研究があります。その猫をテーブルの上に乗せて歩かせると、端のラインを認識できずにテーブルの下に、落っこちてしまうのだそうです。これと同じことが、私たち人間にも起こっている、と考えることはできるかもしれません。

未知の価値は必ず存在

横じま模様の世界を知らないのだとしたら、その世界の現実につながるためにできることはといえば、まず、「自分には、まだ知らない価値体験がある」「まだ体験したことのない世界が、ある」といった前提を、受け入れてみることでしょう。「“自分は横じま模様(の世界)を知らない”ということを、まだ知らない」のですから、興味や関心を持てる多種多様な情報や知識に当たり、新しい体験もしてみることも必要でしょう。視点や情報が新しく加われば、ゴールの中身にボリュームが出てきます。自分の目指す状態や方向、目的地など具体性が出てきたり、現実味を帯びて見えるようになってきて、達成の可能性につながることでしょう。たとえば、登山をするときでも、頂上に関する情報が少なければ登頂できる可能性は低いかもしれず、多くの詳しい情報を知っているなら、登頂できる可能性は高まるでしょう。

ゴールが豊かになってきたら、次にすることは「そこに行く」「達成する」「到達する」と、先に自分で決めてしまうことです。決めたら、行動は自然に起こりやすく、保たれやすく、方法や手段も見つかりやすくもなり、達成の可能性は高まっていくでしょう。何も決めなければ、達成の可能性は低いままかもしれません。

つまり、価値の純度(自分らしさ)を高めるには、未知の価値体験があるという前提を意識しつつ、ゴールに置けそうな新しい情報は可能な範囲でいろいろ集めていくこと。そして、次のゴールの世界の断片が見えてきたら、その価値体験に自分は到達する、と決めることです。

ゴール更新のための資源集め

新しい価値や、その世界へつながるのを助けていくのは「プラスの価値」です。価値は、興味や関心の源泉のようなもので、自分らしさを形づくっているものです。いつでも「Want to」の方向性を指し示しています。自分の素直な「Want to」に沿って過ごせば、目指すゴールは自ずと広がるでしょう。

子猫にとっての“横じま模様の世界”のような、新しいゴールが見えてくる過程で次のような行動が現れるなら、長期的なゴール設定やゴールの更新がうまくいっている目安になるでしょう。

《ゴールの資源が集まりやすくなっている目安》
・納得できる方向性が見えるまで続けている
・決め打ちせずランダムに試している
・手段を限定せず、手探りでも進めている
・行動量を少しずつ増やしている
・網羅するように学びを深める
・新しい経験を積極的に増やしている
・体系化に向けて整理している
・選択肢の幅を広げている
・柔軟に試行錯誤している
・体験を通じて学んでしる

このような状態に気づくときがあるかもしれません。このように行動しなければ、と義務的に考える必要はありません。普段は、動きやすい環境を自分に整えてあげる、という意識で十分で、自分の思ったやり方で可能な範囲で前に進めばよいのです。その、価値を追う時間は、楽しく感じられることが多いでしょう。

新しい経験が始まれば、見聞きするだけでは得られなかった実体験の学びへ移っていきます。その過程は、どのように進んでいく可能性があるか、例で説明してみたいと思います。

子猫にとっての「横じま模様の世界」と同じように、私たちも、自分が記憶や知識として持っていないことは、認識がしにくいと言われています。たとえば、エベレストに初めて登る登山者の中には、山肌を目の前にしても全体像をすぐに認識しにくい人がいるのだそうです。想像を超えた、経験したことのない高さのため、視界に入っても姿が「見えない」のです。ガイドの説明を聞いて情報を得たら、ようやく「見えた」「目の前にあった」という認識になります。

学びは、Want toから広がる

「すでに目の前にあるのに、見えていなかったもの」に気づくきっかけを支えるのは、あなたの「Want to」です。これまで意識に入ってこなかった情報や可能性を受け入れやすくしています。[3-1]自問自答による深掘りや、[4-1]人生カテゴリーの視点を通して、過去やりたかったことや、これからやりたいことに気づき始めた方がいるかもしれません。あなたのWant toは、どんな内容だったでしょうか。たとえばですが、これからやりたいこととして「富士山を間近で見たいな」と思い立ったとしましょう。次に、以下のようなことが気になり始めるのではないでしょうか…
・実際いつ頃行けそうか?
・富士山はどの方向、どの位置から見るのが美しい?
・移動の手段、交通手段は?
・どんな荷物が必要?
・所要時間は?
・旅程は?
・誰と?

こうした問いが浮かんで、必要な情報を自然と調べ始めているでしょう。心の赴くまま富士山に関する情報を探すうちに、富士山以外の国内の美しい山々、名所、絶景などにも目が向きやすくなる可能性があります。やりたいことの方向が明確になり始め、流れに任せて展開させていくなら、この間自然とゴールの抽象度は高まっていきます。その周辺情報にも興味が広がり、知識も深まりやすくなります。Have to(やらねば)ではなく、Want to(やりたい)を起点に視点を広げるだけです。最初は「富士山に登りたい」というゴールだったものが、次第に、「せっかくなら全国の有名な山を制覇したい」など、広がっていくかもしれません。または、関心の中心が「山(登山)」から「絶景」へと広がっていく可能性もあります。あるいは、「カメラを買って、写真を始めるか」など、新しい方向が見えてくる可能性もあるでしょう。世界中に魅力的な自然遺産や絶景が数多くあることにも、改めて気づくかもしれません。世界遺産を巡る旅人の中には、強い情熱や発信力を持つ人たちがいることも、知ることになるかもしれません。たとえば、その中でも特にカメラに興味を持った場合、心を打つ写真を撮るためには、これまで知らなかった技術や道具、感性、探究心、知識などが必要だと、発見するかもしれません。自分には何が必要か、どこを伸ばしたいか、といった探求にもつながるでしょう。さらに、自分の感性を刺激する写真家の存在を知ることで、挑戦したい気持ちが広がっていくこともあるでしょう。

自分の価値に一致していれば、興味や関心は自然と深まり、それがゴールへのモチベーションを支えるのです。

本書のスキルを一度でもひと通り実践していれば、ゴールの価値に関連する情報は、それまで以上に目に入りやすく、耳にも入りやすくなっているでしょう。そして、ゴールの抽象度は、知識や経験を重ねることで、意識しなくても自然に高まっていきます。

知識だけでなく実際の経験も、ゴールを少しずつ高めていきます。

たとえば、カメラに興味があるなら、実際にカメラを見て手に取って撮影してみることで、新たな視点が生まれます。手に取ることで、興味や疑問は自然と湧いてくることでしょう。プロの写真家に話を聞ける機会があれば、自分は「何から始めたいか」「何からスタートできそうか」といった具体的な意欲が生まれるでしょう。得られる情報も増えるでしょう。新しいゴールやセルフイメージもより身近に感じられるようになるかもしれません。現役の写真家の現場に同行する機会などあれば、あなたのゴールの臨場感をより高めやすくなるでしょう。

もし、自分が圧倒されるほどの存在や、強く憧れる人物に出会えたなら、それをゴール合成5-3に取り入れればよいのです。

映像コンテンツを視聴するのもよい方法です。ですが、「肌感覚での体験」も大切です。コンテンツを見聞きするだけで満足していい、というわけではありません。実際に人と会い、話す機会を積極的につくることも大切でしょう。妥協する必要は、ありません。

もし、途中で躊躇したり、何かブレーキがかかるようならスキル1や2を活用し、整えるのがよいでしょう。

人生のほかのカテゴリーでも学びを深めていくなら、そのカテゴリーのゴールの抽象度もセルフイメージも高まっていくことでしょう。「ヒマで困ってしまう」「何をしたらいいかわからない」といった時間は、減っていくでしょう。人と比べている時間さえ惜しくなるかもしれません。もしも、人と比べて緊張する瞬間があるなら、それは自分らしさやゴールの焦点からそれている、というサインかもしれません。

幅広く体系的な情報や知識、それに伴う実際の経験によって、ゴールの抽象度は自然と高まりやすくなるでしょう。やり方はシンプルで、好きで楽しい方向に沿って自分のペースで進めればOK、ということです。

ここで振り返りですが、本書でのゴールの定義には「自分自身」だけでなく、「自分に関わる存在(人々や環境)」や、それらとの「関係性」まで含まれています。行動やモチベーション、「心からそれがやりたい」という認識の起点になっているのは、個人的な「プラスの価値」です。

《価値とは…》
・誰かに強制されたものではなく、自分が本当に大切にしたいもの
・たとえ止められたとしても、進みたい道を示してくれるもの
・自分にとって優先したい大切なもの
・やらされ感なく、納得感があって取り組めるもの

こうした方向へ、自然と自分を向かわせてくれるものを「価値」といっています。自発的な行動の背景には、プラスの価値が深くかかわっています。本書のスキルの目的は、ゴールへ向けた自然な行動を起こすことでした。富士山への旅程をきっかけに、日本の絶景、世界遺産、カメラ、写真の世界、写真家の活動へと興味が広がり、ゴールの抽象度が高まった例を挙げました。この過程で抽象化されていったのが「プラスの価値」です。

価値は「いま・ここ」に存在する

価値は、入れ子構造のように捉えることができます。

価値は、入れ子構造として捉えることもできるでしょう。

たとえば、人にとって普遍的な価値として「幸福」や「平和」がありますが、抽象度が高い概念です。捉え方には個人差があるものの、「平和」という価値は、「愛」というさらに大きな概念(入れ子)の中で捉えることもできるかもしれません。「平和」は「信頼」を含み、「信頼」は「協力」を含み、「協力」は「和解」を含む、というように、価値同士は入れ子のような関係で理解することができるでしょう。

つまり、ゴール設定とは、「個人的プラスの価値を起点にして、より前向きで抽象度の高い価値へとつなげる活動」でもあります。本書の手順は、あなたの「現在進行形の出来事」や「今、目の前の課題」に活用することで、より効果を感じやすくなっています。感情は「今・ここ・目の前のこと」に反応しやすく、プラスの価値と深くつながっているからです。

価値から逆算してゴールを設定しないで

ただし、ここで「では、自分のゴールを人類の平和に設定しよう!」と早合点する人がいるかもしれません。「きっかけ」や「たたき台」としてなら間違いではありませんが、価値とゴールは同じものではありません。「平和」や「豊かさ」などの価値そのものはゴールに先立つものではありません。

前向きな脳内ネットワークは「体験」を基盤にしてつながっていきます。試行錯誤なしでの「ゴールは平和にしよう」「ゴールは豊かさだ」などの判断は、回り道になってしまいます。実際の体験を通しての探求が、着実な早道です。価値は未来のゴールのビジョンと体験から「結果的として発見されるもの」です。一般化しているような価値そのものを、先にゴールには設定できません。

私自身、かつては「価値」から逆算しゴールを設定していた期間もありました。ですが、その期間は思うように状況が変わらず、自己評価も向上することはなく、今は間違いだったと思っているからです。なぜなら、価値を優先してゴール設定すると、他人の価値観が混ざってしまうことがあり、自分の体験から湧いてきた言葉でないものはズレが大きいのです。本書の方法でスタートできる人は、結果はもっと早いでしょう。

同じ「富士山」から始まっても、人によってゴールの方向性は異なります。
・「勝利」や「NO.1」であることに価値を置く人は、「エベレスト登頂」がゴールの視野に入ってくるかもしれません
・「美しさ」「感動」に価値がある人なら、次はマッターホルンを見に行きたくなるかもしれません
・「健康」という価値が起点なら、家の裏山一帯をウォーキングコースに変えるなどのゴールになる可能性があります

これらの異なるゴールには、共通する価値があるとすれば「自然との一体感」などに統合できるかもしれません。ですが、そこへ至る道筋は(エベレストorマッターホルンor裏山など)人によって違うのでしょう。

あなたの「高いゴール」と「高いセルフイメージ」は人類のゴールにつながっている

ここで、「自分のゴールを、“人類の平和”に設定してみようかな」など、考え始める人がいるかもしれません。先で触れた例は「きっかけ」や「たたき台」として捉えるのは間違いではありませんが、価値はゴールと同じではありません。「平和」や「豊かさ」などの価値そのものを、そのままゴールとして置けばよいというわけではありません。ポジティブな脳内のネットワークは、体験を基盤にしてつながっていきます。試行錯誤を経ずに「ゴールは“平和”にしよう」「ゴールは“豊かさ”にしようか」など決めるなら、自分らしさから離れてしまうことがあるかもしれません。体験を通した探求が、より着実な近道になるでしょう。価値は、未来のゴールのビジョンと体験から、結果的に発見されるものになっています。

繰り返しになりますが、一般化している価値そのものを、そのままゴールとして置くのはまわり道になる可能性があります。私自身が、過去に「価値」を先にゴールに置いて、そこから逆算するというゴール設定の仕方をしていた期間がありました。ですが、ほぼ状況は変わらず、うまくいっている感覚もなく、モチベーションや自己評価にも変化が出にくかったように感じました。それだと他人の価値観が混ざりやすくなってしまうからです。自分の体験から自然と湧いてきた言葉を起点にしなければ、ずれが生じてしまうのです。本書の方法でスタートできる方は、より結果につながりやすいことでしょう。

例に戻りますが、同じ「富士山」から始まっても、人によってゴールの方向性は異なってくるかもしれません。
・「勝利」や「NO.1」であることに価値を置く人は、「エベレスト登頂」がゴールの視野に入ってくるかも
・「美しさ」「感動」に価値を置く人なら、次はマッターホルンを見に行きたくなるかも
・「健康」という価値が起点なら、家の裏山一帯を日常のウォーキングコースにしていくようなゴールになるかも

これらの異なっているように見えるゴールも、共通する価値という視点で見るなら「自然との一体感」などのひとつの価値として共鳴するかもしれません。ですが、そこに至る道筋が、人によって異なっている、ということでしょう。エベレストを目指すのか、マッターホルンを見に行くのか、裏山を歩くのか、といった方法や手段の違いです。

たとえば、「犬猿の仲」と言われる犬と猿に、もしも共鳴する価値があるとしたら「動物の幸せ」かもしれません。さらに抽象度を上げるなら、「人間を含む生き物全体の幸せ」へとつながっていきます。このように、生き物全体の◯◯といった、より抽象度の高い価値に心から納得感を持てるようになると、次は「自分だけでなく、ほかの誰かが喜んでくれたら、私はもっと嬉しい」という価値観へ広がっていくことでしょう。逆に、「自分だけがよければ、いい」という方向のゴールだと、周囲との摩擦が生まれる可能性があり、満たされやすい形になりにくいかもしれません。

いわゆる「価値観の違い」が対立や葛藤を生んでいることは、身近にもよく起こっていることなのかもしれません。この解決は、個人のゴールと価値観が高い抽象度へ発展していくなら、やわらぎやすくなるでしょう。全員が前向きで抽象度の高いゴールを持てたなら、「結局のところ、みんな幸せで豊かに暮らしたい、という思いは同じだったのだ」と、全員が気づける日がいつか来るかもしれません。

「高いゴール」「高いセルフイメージ」を目指していくことは、「身勝手」「わがまま」「自分さえよければいい」といった考え方とは、むしろ反対の方向にあります。あなたのゴールが、より前向きで、高く大きなものであるほど「自分らしさ」という本来の感覚を取り戻しやすくなる人が増えるでしょう。人類全体の成長にもつながる可能性もあるでしょう。だからこそあなたのゴール設定は、前向きさに関して妥協したり、躊躇したり、遠慮したりする必要がないものです。

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