私達は、どんなタイミングで自分の人生を俯瞰するでしょうか?
・人生の節目や転機で立ち止まりたいとき
・過去/現在の成果を振り返るとき
・将来の予定や計画を立てるとき
・何か新しいことを始めたいとき
・未来を予測しようとするとき

このような瞬間に、人生を広い視点で見直すことが多いのではないでしょうか。本メソッドでは、こういった視点を日常の中でも、長期的な視野で活用することが効果的だと考えます。人生の変化は短期間では起こるというよりも、小さな選択や行動によって長い時間をかけてつくられるものだからです。

人生はひとつのゴールではなく、いくつかのゴールの組み合わせで成り立っています。俯瞰的なゴール設定の習慣がないと、目の前の出来事に意識が向きやすくなり、視野が狭くなりがちかもしれません。ゴール設定を習慣化するなら「人生全体を俯瞰する視点」を定期的に持っておくことがポイントです。

ここでは、人生をいくつかの「カテゴリー」に分けて整理し、それぞれのテーマからゴールを考えていきます。人生を俯瞰する目的には、視野を広く保つ以外にも下記のようなものがあります…
・「興味/関心/楽しみ/好きなことなど(Want to)」にテーマを絞るため
・モチベーションの起点を増やすため
・結果へ相乗効果を生み、より良い結果へつなげるため
・心地良さや満足感など前向きな感情の起点を増やすため
・充実感を高めるため

これらはすべて、長期的にバランスを目指しつつ、主人公として自分の人生の主導権を握ることにつながります。

人生を俯瞰するための10の視点

人生を俯瞰するときは、例えば下記のようなカテゴリーに分けて考えてみましょう。

(以下、あいうえお順)
1家族
2からだの健康
3経済
4心の健康
5コミュニティ
6生涯学習
7職業
8人間関係
9プライベート
10余暇

このように項目を分けることで、ゴール設定を考えるときのたたき台になります。カテゴリーは、人生をさまざまな角度から見るための「視点」であり、人生の「地図」のようなものでもあります。必ず10個にする必要はなく、自分に合った数に調整して構いません。人生を俯瞰する視点が多ければ、ゴールの可能性も広がります。また、カテゴリー名も、自分がしっくりくる言葉に言い換えるのがおすすめです。

いくつかのカテゴリーを設定したら、それぞれのカテゴリーごとに「自分が興味/関心を持つこと/もの」を洗い出してみましょう。10個なら、価値観のヒントや可能性は×10になり、見つかりやすさも×10、前向きな感情の起点も×10になります。そのため、目安として、8つ以上のカテゴリーを設定することをおすすめします。

「あなたのゴールは何ですか?」と突然聞かれても、白紙の状態では答えにくいものですが、カテゴリーごとに分けて考えれば、自分の考えやゴール、価値観を整理しやすくなります。長期的に活用すれば、ゴールの情報量が増え、内容も充実し、仕事だけでなく、人生全体の主導権を握るきっかけにもなるでしょう。

ここで注意したいのは、カテゴリーは固定されたものではないということです。カテゴリー自体がゴールになるわけではありません。カテゴリーは、ゴール設定のための手段にすぎません。

【人生カテゴリーの例】

8~12種類のカテゴリー例をいくつか紹介しますので、参考にしながら、自分に合った分類を考えてみてください。

《3カテゴリーの場合》
1経済
2健康
3社会性

《4カテゴリーの場合》
1関係性
2経済
3健康
4仕事

《6カテゴリーの場合》
1経済
2健康
3社会性
4趣味
5職業
6人間関係

《8カテゴリーの場合》
1引退後
2経済
3健康
4自己成長
5社会貢献
6趣味
7職業
8関係性

《12カテゴリーの場合》
1引退後
2家族
3関係性
4経済
5健康
6社会貢献
7趣味
8生涯学習
9職業
10精神性
11プライベート
12余暇

人生カテゴリーは、人生のさまざまなテーマを整理するための「整理棚」のようなものです。棚の数や分類にこだわる必要はありません。まずは紙やスマホなどに書き出し、そのときの自分に合った分類を見つけてみましょう。考えるための材料として活用してみてください。

「職業」と「お金」は性質が異なるため、分けて考えましょう。お金のやり取りがない世界でも「自分の仕事」は存在します。お金を受け取らなくても、純粋にやりたい仕事もあります。

ちなみに、アリの社会には働かない個体が一定数います。これは、集団としての余力や余裕を保つため、予備的な存在として機能しています。「仕事をしないこと」も、大切な役割のひとつかもしれません。

また、自分にとっては趣味であっても、それを通じてお金を受け取っている場合は、「職業/仕事」のカテゴリーに分類されます。

【ゴールがすでに決まっている人の活用法】

もし、すでに「これだ」というゴールが決まっている場合は、次のような視点で活用できます。

・ほかカテゴリーを組み合わせることで、もっと素晴らしいゴールにならないか?
・現在のゴールは、ほかのカテゴリーとどのようにつながっているか?
・ほかのカテゴリーで、まだ気づいていない可能性はないか?

カテゴリーは固定されたものではなく、ゴールの変化に合わせて自然と更新していくものです。ゴール達成に向けて動いているうちに、関連するゴール同士がまとまり、新たなカテゴリーが生まれることもあります。すると、「次のゴール」が見えやすくなるでしょう。

すでに決まっているゴールの中身を濃くしていき

視野が広く保たれ

さらにゴールの中身が濃くなる

と、良い循環が起こります。ゴールに対し納得感や確信も深まります。

人生カテゴリー自体が、目指すゴールなのではありません。「自分のゴール」が先にあり、カテゴリーは後から整理されてくるものです。

【ゴールがまだ決まっていない人の活用法】

ゴールがまだ明確でない場合は、下記のような問いを考えてみましょう。

・自分にとってWant toであり、課題度/挑戦の度合い/やりがいが最も大きくなるのは、どのカテゴリーか?
・圧倒的に前向きなセルフイメージを持ちやすいのは、どのカテゴリーのゴールか?
・今の自分にとって、最もゴール設定の必要性が高いカテゴリーは?
・過去に設定してきたゴールには、どのような傾向があるか?
・自分らしさや能力、行動力を発揮しやすいカテゴリーは?
・直感的に興味を持つのはどのカテゴリーか?

これらの問いを通して、ゴールのテーマを明確にしていきましょう。最初は仮のゴールでも構いません。

繰り返しますが、ゴールは自分で設定するものなので、カテゴリーは固定されていません。自分なりの分類加減で構いません。

興味や関心、必要性に従いながら、自分のゴールについて情報を集め、知識を吸収し、経験を積むための基盤として活用してみてください。ただし、カテゴリーに当てはめてから、ゴールを設定するのではなく、まずゴールの焦点を明確にし、その後で適したカテゴリー名を割り当てるのが理想的です。ゴールの内容は自由なので、カテゴリーそのものがゴールではないことを意識しておきましょう。

ゴールについて俯瞰的な視点を持ち、スキルを並行して活用することで、モチベーションの起点となる、心に火がつくようなゴールを見つけやすくなるでしょう。

では、人生を構成するカテゴリーを10個に分けるとしたら、どのような内容が考えられるでしょうか。例を挙げてみます。

1家族
家庭/婚姻関係/親子関係/兄弟関係/パートナーシップ/師と呼べる存在

2からだの健康
健康状態/健康維持/健康管理/衣/食/住/睡眠/通勤環境

3経済
収入/資産/財産/ファイナンス

4心の健康
心の安定/精神性/信仰

5コミュニティ
社会性/公共性/地域、社会、世界との関係性/無償の貢献

6生涯学習
教育/能力開発/自己成長/学び

7職業
仕事/キャリア/ライフワーク/経歴

8人間関係
知人/友人/仲間/親戚など

9プライベート
自分のこと/自分の時間/個人的な活動/自己実現/引退後の夢

10余暇
休養/趣味/楽しみ/娯楽/レジャー

学生の方は、学業を生涯学習や職業としてカテゴリーに含めても良いでしょう。視点が多いほど、人生を広い視野で俯瞰しやすくなります。それぞれのカテゴリーでゴールを意識しておくと、人生全体のバランスも、より見えやすくなるでしょう。

例えば、朝から晩まで仕事に追われている状態がつづくと、プライベートの時間が不足し、健康や家庭とのバランスが取りにくくなることがあります。また、夢だけを追いかけて現実への対応や責任を後回しにすると、生活全体のバランスが取りにくくなることがあります。

現実に向き合う余裕がないと感じたときは、スキル1が有効です。一方で、目の前の現実対応だけに意識が向いているときは、スキル1から2まで続けての活用が役立つでしょう。

人生のカテゴリーは、一言で言えば「人生」。どれも、密接に関わり合っています。意識するだけで結果が変わっていくことがあるため、俯瞰的視点を持つことは大切です。

例えば、「趣味/余暇」の分野をひとつのカテゴリーとしてまとめると、より挑戦的で高いゴールを設定しやすくなります。「無償の貢献こそが自分のライフワークだ」と感じる人にとっては、ライフワークと無償の貢献は別の概念ではないはずです。また、「からだの健康」と「心の健康」が密接に関係しているのは明らかです。同様に、「自分との関係」「家族との関係」「ほかの対人関係」「コミュニティとの関係」なども、これらを1つのカテゴリーとして束ねることもできます。リーダーシップを重視する場合は、「社会貢献」「ファイナンス」「休養」「家族」といった要素を束ねてゴールを設定し、バランスを考慮するのも一つの方法です。

改めて整理すると、人生を俯瞰する視点は、あくまで「自分にとってのプラスの価値が最大化するゴールを設定するための手段」にすぎません。ゴールを達成し、次のゴールを定めるまでの間も、思考の整理に役立ちます。思考の焦点や達成の度合いによって、カテゴリーを束ねたりバラしたりと変化していきます。そのため、定期的に見直していくことが役立ちます。

最も使いやすいカテゴリーの種類や数は、目的やその人の状況、用途によって異なります。

《俯瞰的視点を持つメリット》
・どの人生領域を前向き方向へ向けたいか、意識化や言語化を助けてくれる
・もっと多くを望み、自分に高い目標を許可するための基盤にする
・選択肢を網羅的に整理し、ゴールの土台を明確にして吟味できる
・見落としや盲点をなくし、バランスを整えられる
・モチベーションのポイントを発見しやすくなる
・人生全体の価値を最大化する
・知識や情報の収集がしやすくなる
・ゴール設定時の指針(羅針盤)になる
・経験値を上げるための基盤になる
・ゴール更新がしやすい
・ゴールの新鮮さを保つ

スキル1~6を繰り返し活用することで、視点の抽象度が高まり、行動や達成を通じて価値ある体験が積み重なっていきます。人生カテゴリーの内容の最適化が進み、ゴールの純度が上がっていきます。

人生カテゴリーを使ってゴールを考える際も、スキル2で紹介した下記ルールを引きつづき、意識しておきましょう。

・より前向きで、ギャップが大きく、遠く、高い目標ほど効果的なゴール
・何をどうやったら実現できるかわからないが、できるとしたらうれしい
・一見他人事に思えるほどギャップがあるが、より自分らしい在り方
・いまの自分とは異質なようでいて、本音では望んでいる在り方
・手が届きそうになく、一度は諦めたり封印したりした価値観
・不安を感じるが、絶対に失敗しないならやりたいこと
・実現したら心の底からうれしい「Want to」である
・過去の延長線上にはないが、とても自分らしい
・現状の自分の枠をはるかに超えるが、本質的
・納得感や一致感が高く、やらされ感がない
・身近ではないけれど、最高に魅力的
・諦めたくない
・とんでもない
・突き抜けた
・桁外れの
・卓越した
・挑戦的
・野心的
・圧倒的
・高尚な
・情熱的
・魅力的
・飛躍的
・劇的な

これらのルールを意識しながら人生カテゴリーを活用すると、新たな視点が生まれ、次のゴールや新しいセルフイメージのための情報収集がスムーズになります。すると、特に重要な1~3個の人生領域に価値が集約されていくことに気づくでしょう。情報や知識が最適化/抽象化され、ゴールの追求も調子づいてきます。自分の「Want to」「好き」「楽しい」「得意」に目を向ける時間が増え、人生全体を巻き込みながらモチベーションがつづきやすくなるはずです。

私達がふだん持っている思い込み(言葉/セルフトーク)は、安定をもたらしてくれている一方で、行動や思考を制限することもあります。ですが、「自分が経験していないこと、知らないことは数多くあり、その中に自分でも気づかなかったモチベーションが眠っている」という前提を持っておくと良いでしょう。

「当事者として体験したことはなく、見たり、人から聞いたりしただけ」といった知識しかない「未知のゴール」が「本当に自分らしさに沿っている価値かどうか」は、当事者として体験しない限り、本当の意味で吟味することは難しいものです。実際に体験してみて初めて、有意義な判断ができることかもしれません。世間で「成功」とされている価値観も、実際には誤解や表面的な評価が含まれていることがあるのです。本物の喜びや問題解決につながっていない場合もあります。

確実なのは、「自分らしい成功の基準」を持ち、それを育てていくことかもしれません。

気になることや、興味や関心のあることは、すべてゴールの候補としてどんどん投げ込み、アンテナを立てることから始めましょう。やりたくないことに意識を向け続けるよりも、Want toに焦点を合わせることが大切です。情報や知識を積極的に取り入れ、そこから広げていきましょう。

すでに明確なゴールがある場合は、その人生カテゴリーにおいて切実な思いを持ち、知識や経験を重ねてきたその表れともいえるでしょう。その場合は、人生を俯瞰するツールを使って、現状のゴールの枠を超えてほかのカテゴリーにも目を向けてみましょう。新たな視点を取り入れながら、ゴールを更新してみることをおすすめしたいと思います。

ここまでの内容を確認したら、各カテゴリーごとに、「夢、やりたいこと、興味、関心(Want to)」を、3つ以上書き出してみましょう(4-1に記録)。

スキル3と同様に、スキル4の視点も日常的に意識しながら、強いゴールへと育てていきましょう。ここまでの作業の3-1と4-1で、あなたのゴールに関するテーマを合計6つ、言語化できたかもしれません。

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