📘ゴール設定としてのスキル1の機能は「現状の打開」です。メソッド全体の中では、スキル1は「現状の停滞感」や「感情のモヤモヤ感」を手放し、ポジティブな解決像をよりクリアに思い描ける状態に整えることを目的としています。ステップ実践後は、打開策やアイディアが自然と浮かびやすくなるはずです。たとえば、下記のような状況で活用できます…
・特定のテーマに関してモチベーションが上がらない
・問題や悩みの打開策が見えない
・葛藤や迷いから抜け出せず、足踏み状態
[1-1]
スキル1は、今、この瞬間に感じている、ありのままの「リアルな(ネガティブな)感情」に注目して取り組むものです。たとえば、心の中にふと湧いた…
・「もう無理」
・「やりたくない」
・「何か不安だな」
・「できるかこんなもん」
・「嫌だ」
・「ゆううつだ…」
スキル1で言う「課題設定」とは、こういった、心の中から思わず湧き出る「本音のつぶやき」を特定して設定することです。課題設定は「セリフそのまま」のことなので、難しく考える必要はありません。実際にすることは、「心の叫びや嘆きなど、つい、口をついて出てしまった言葉」や「溜息まじりに漏らした言葉」、などネガティブ感がある(あった)なら、“そのタイミングで記憶に捉えておく”だけです。切実で生々しい言葉であればあるほど、突破口につながりやすいです。
今、この瞬間のネガティブな思いやセリフをでも良いですし、もし、今の気持ちにネガティブ傾向が無い場合なら、直近で感じた…
・違和感
・気がかり
[1-1]
といった程度の小さなモヤモヤでも、十分スキル1の対象になります。
小さな課題を扱っった結果、「できる」「できそう」などの確信が増えたり、「早く行動したい」といったポジティブ感情を増やすことにつながります。
ゴールはそもそも、鮮明に「見えて」いさえすれば自然と行動のハードルが下がるものです。たとえば、空がどんなに厚い雲で覆われていても、向こう側にはいつも必ず太陽があることと同じようなものかもしれません。雲は一時的なもので、その雲を、もし「意図的に消す」ことができるなら、本来の太陽光が戻ってきます。同じように、ネガティブ感情が晴れれば、見え方、聞こえ方、感じ方といった認識は変わり、自然とポジティブなゴールを設定しやすくなります。
1-1はネガティブ感情からスタートしてはいますが、スキル1の目的は「粗探し」ではなく「転換点づくり」です。それができる理由は、行き詰まりやモヤモヤの「起点」というのが、実は、自分のポジティブな望みやゴールにあるからです。
行き詰まりやモヤモヤの根底には、そもそも「大切にしたいコト/もの」や「欲求」」「ゴール」「理想」などが存在し、それらと「ズレている」から、違和感や行き詰まりという認識が生まれています。
・欲がなければ、不足感は生まれない
・理想像や解決像がなければ、違和感も生まれない
・太陽があるからこそ、雨雲が気がかり
あなたの心の中に、ゴールという前提が(無意識でも)すでに“存在しているから”、現状に「課題」や「問題」が出るのです。モヤモヤや行き詰まりは、「ゴールが存在する証」と考えられます。
もし、モヤモヤなど感情の偏りを整えずに放置したままでいれば、ポジティブな望みやゴールを見失いやすくなってしまいます。ゴールを思い描けないということは…
・行き詰まって足踏み状態がつづく可能性
・「自分らしさ」「自分にとって大切なこと」を見失いやすくなる
・情報に振り回され、時間を浪費する
・達成に向けたチャンスを見逃す
・モチベーションの低下や停滞
・無駄な競争に気を取られ、巻き込まれる
など、変化に向かう力をさえぎってしまい兼ねません。
一方、「変わりたい」という前向きな気持ちがありながら、いざ変化を目の前にしたら不安や恐怖心を覚えるのも、自然なことかもしれません。その不安や恐怖心自体に、脅威を感じたりもするかもしれません。すると「やっぱり変えない/変わらない」安全策を選びとって、現状維持に戻っていくのも、よくある反応ではあります。
ひとつお伝えしておきたいのが「ネガティブ感情は邪魔者ではなく、扱い方次第で味方にできる」ということです。
時間はどんどん過ぎ去っていくのでその間に、どんな方法でどう動くか、が大切です。ポジティブなゴールが心の中にすでに存在していても、それを意識せず過ごせば、ただ日々が過ぎていくのみで、スキルでポジティブなゴールを意図して活用するなら、モヤモヤや行き詰まりに出口をつくってあげて、ゴールに向けた循環に乗せてあげることができるのです。
行動に必要なのは前向きな方向性を持った「価値」という原動力。もしも感情に人格があるとしたら、ネガティブ感情(さん)も、「あなたを守りたい」「生き延びたい」という目的で存在しているのでしょう。つまり目指す最終ゴールは同じではないでしょうか。最終ゴールが一致しているなら、「敵」でも「邪魔者」でもありません。
ですので、こうしたネガティブ感情も自分の「味方」としてしかるべき方向を向いてもらうように仕向けたいと思います。その起点となるのがスキル1です。感情の偏りを整えたら、すぐにポジティブな未来について考え始めましょう。
やっとここで本題ですが、スキル1では、解消したいモヤモヤや行き詰まりをひとつ選び、その「セリフ/言葉/独り言」を「1-1課題」として設定します。
状況としては、例えば次のようなものがあるかもしれません…
・力が湧いてこない/腰が重い分野や領域
・期待と結果のずれが繰り返されている
・閉塞感/こう着状態で前に進まない
・気がかりや違和感を覚えている件
・自分的に難しく、自信が足りない
・自分らしく振る舞えない場面がある
・モチベーションが下がっっている
・愚痴や不満がつい出る
・気が進まない/やる気が出ない
・先行きが不透明
[1-1]
思い当たるのは、優先順位が高いものなら、どれでしょうか?「優先順位が高い」というのは、つまり「1日/週を通して頻繁に意識に上ってくるにもかかわらず、進展していない」など、ネックになっている件かもしれません。すると、心の独り言や、実際に口から漏れているセリフも同じ傾向があり、その頻度も高いことでしょう。
ゴールが既に明確にある人でも、「今日」「いま」「直近の」違和感や気がかり程度でも解消することで、ゴールをより近くに感じられます。実践してみましょう。
「ゴール設定」でなく便宜上「課題設定」と呼んで例を挙げながらの解説ですが、これ以降はご自身のことに当てはめて、すすめてください。
《打開したい課題(1-1)の設定 (例)》
→仕事が憂鬱だ!(例)
前述したように、「ネガティブな本音のセリフ」がそのまま「1-1項目の答え」になります。たとえば…
「もういやだ」
「どうしてうまくいかないんだ」
「どうせ自分には無理」
など、心から湧いてくる本音のことです。
数時間前に自分がつぶやいた「独り言」を振り返るものいいですし、数年越しで抱えている「心の嘆き」を捉えても良いでしょう。いったん自己観察の時間を数日とって、改めて発見したい場合は、それでも良いでしょう。
前述したように、セリフをそのまま書き出してください。
「今この瞬間」の感情のこもった言葉は本質に近いので、スキルの効果を引き出してくれます。本音からズレた、表面的な言葉ではスキルの効果は弱まります。
どんなメモの仕方でも良いので、記録を残しながらすすめましょう。その言葉/セリフをそのまま1-1項目として記録します。声に出してみると、本音とずれがないか確認しやすくなるかもしれません。最後のページに手順番号と要点をまとめたワークシートがあります。
スキル1は1-14まであり、記録があれば最後にスキルの効果も確認できます。スキルにもう慣れたという場合以外は、必ずメモをとりながらすすめてください。途中で中断しても、どこからでも再開でき、メモがあればそれがスムーズです。メモをどこに保存したか忘れないようにしましょう。
スキル1は、できるだけ「数十分のまとまった時間」と、「ひとりになれる環境」の確保をおすすめはしますが、確保できる時間が短くても、“必要性を感じたときに実践”という使い方で大丈夫です。